卓球男子で日本勢最高の世界ランク4位につける張本智和選手(22=トヨタ自動車)が、2025年8月4日に自身のInstagramストーリーズを更新し、Tリーグの独自ルールに対する率直な思いを語りました。
これまで木下マイスター東京、琉球アスティーダを経て、今季から岡山リベッツに移籍した張本選手。彼が今回発信したメッセージは、Tリーグに携わる全ての関係者やファンに対して一石を投じるものでした。
試合時間短縮やジャイアントキリングを狙った特殊ルールが選手に与える影響や、その裏に隠されたリーグ運営への提言まで、張本選手の“本音”を詳しく見ていきましょう。
目次
張本智和が語ったTリーグ独自ルールへの違和感とは?
張本選手がInstagramで取り上げたTリーグの独自ルールには、WTT(World Table Tennis)とは異なる特徴がいくつもあります。
具体的には、ボールの質を変えて振れば入るようにするといった用具面での違い、10-10からの1本勝負、最終ゲームが6-6からスタートするルール、そしてチームの勝敗を左右する5番目の試合が1ゲームで決まるといった特殊ルールが存在します。
こうしたルールについて張本選手は、「時間短縮やジャイアントキリングを狙うのであれば、格下チームにハンデを与えるようなもっと極端なルールを作れば良い」と皮肉を交えて語り、現行ルールへの疑問を投げかけました。
それはすなわち、形式だけのエンタメ要素に偏るのではなく、選手にとっても真剣勝負の場として成り立つリーグであってほしいという強い願いが込められているのです。
張本智和がTリーグに求める「選手への配慮」とは?
さらに張本選手は、「Tリーグに専念している選手だけでなく、WTTを軸に戦う選手たちも生活のために全力でTリーグを戦っている」と述べ、自身も過去7シーズンにわたってルールに気を張りながら戦ってきた苦悩を明かしました。
そのうえで「どんなおかしなルールでも、負けた選手は落ち込む」とし、ルールによって勝敗が左右されることで選手のメンタル面にも大きな影響があると訴えています。
海外のトップ選手たちが「日本に来てこんなルールで負けたくない」と感じてしまえば、リーグとしての魅力は失われてしまう。
それゆえ張本選手は「お客さんに本物の卓球の試合を見せたい」と強調し、ファンを楽しませることと同時に選手への配慮があるリーグ運営を求めているのです。
張本智和が危惧する「Tリーグルールが生む悪循環」
張本選手は、Tリーグ独自ルールが選手たちの成長を阻害する可能性についても懸念を示しています。
たとえば、Tリーグルールで偶然トップ選手に勝った選手が「WTTでも通用する」と勘違いし、海外に挑戦してもあっさりと敗退。その結果、海外で勝つための努力を怠り、国内リーグだけで満足してしまうという“悪循環”が生まれていると指摘しました。
張本選手自身は、血の滲むような練習を積み重ねて世界ランキングを上げてきた経験があります。それだけに、「努力して海外で勝つ」という感覚を今のTリーグルールが潰してしまっていると危機感を持っているのです。
特に、表面的にはトップ選手を苦しめているように見えるこのルールが、実はその他の選手たちの成長機会を奪っているのではないかという鋭い洞察も含まれていました。
まとめ
張本智和選手がSNSで発信したTリーグ独自ルールへの批判は、一選手としての視点にとどまらず、リーグ全体の未来を見据えた真摯な提言でもありました。
試合時間の短縮やエンターテイメント性を重視することは、スポーツビジネスの観点から必要不可欠ですが、それと同時に選手たちが誇りを持って戦える環境を整えることがリーグの発展には欠かせません。
張本選手のように世界で戦うトップアスリートが、国内リーグでも真剣勝負を繰り広げられる舞台こそが、ファンにとっても本当の意味で「見たい卓球」になるでしょう。今後、Tリーグ運営側がどのような対応を取るのか注目が集まります。